わたしはこう乗り越えた
『死別〜肉親との別れ〜』
すい臓癌と診断された父は半年余りの闘病生活でこの世を去った。それは私のじんせいで最も衝撃的な出来事だった。
野生動物は肉親の死骸を食用にする。自らの生命に変え、さらに子孫へとつないでいくためであろう。決して死を無駄にしない彼らに教え諭されたのは3年前のことだった。
父が亡くなった当初、私はその死を認めることができず、ただ茫然としていた。落胆の日々から私を救ったのは父の遺詠だった。そこには、親が子に託す「見えない襷」が読み取れた。私は、愛の心で生き抜いた父の姿を私の体を通して子どもにも伝えなければならないと思った。文章に書き表すことの意味を考えた結果、大学院入試に挑んだ。
人間が肉親の死を乗り越えるためには、故人の心を理解しなければならないだろう。現在、修士課程を修了した私は人間であることを意識しながら歩んでいる。いずれ、私の襷を我が子が受け取ってくれると信じて・・・。