1 論 文 題 目
生体情報を指標とする学習評価に関する基礎的研究
2 論 文 の 概 要
本論文は、生体情報を指標とする学習評価法の開発に関する基礎的研究の成果
をまとめたものである。局所発汗量連続記録装置(本装置)によって問題解決 中
の精神性発汗現象を測定した結果、算数・数学の問題を解答中の精神性発汗現 象
の再現性が高いこと、精神性発汗波の発汗変位量の正規化分散値(NVH)と 項
目応答理論(IRT)によって推定された項目困難度との間に有意な相関関係 が
認められることから、本装置は心理的困難度の定量的測定装置として有効であ る
ことが判明した。次に、精神性発汗現象と遂行結果について検討したところ、 正
規化総発汗量(NVE)が50を越えた問題や正規化単位発汗量(NUE)が50 未
満の問題は誤答である場合が多いこと、精神性発汗現象を測定することによっ て
正答率の向上や解答時間とは独立して習熟度を客観的・定量的に評価できるこ と
などを知見として得た。つぎに、精神性発汗波を数理学的に考察し、問題解決 時
の精神性発汗波にはカオス性が存在することを明らかにした。
さらに、NVHによる心理的困難度推定モデルを提案し、提案したモデルが妥
当であることを示した。また、心理的困難度を考慮した学習評価方法として、 N
VH・NVE・NUEに基づく評価方法を提案し、NVH+NVE>100 であ る
ときは誤答する可能性が高いことなどを示した。
最後に、本研究の応用について述べ、学習評価への応用としてのNVE−N V
H分析、医療分野への応用として痛みの定量的測定などを提案した。
本研究で得られた知見や提案した手法は、算数・数学の問題を刺激として与え
た場合に限られたものではなく、精神的刺激に対する心理的ストレスの定量的 測
定という広く応用が可能なものであり、教育分野・医療分野をはじめとし、さ ま
ざまな分野での活用が可能である。